秋のけはひ入り立つままに、土御門殿のありさま、言はむ方なくをかし。池のわたりの梢ども、遣水のほとりの草むら、おのがじし色づきわたりつつ、おほかたの空も艶なるにもてはやされて、不断の御読経の声々、あはれまさりけり。やうやう涼しき風のけはひに、例の絶えせぬ水のおとなひ、夜もすがら聞きまがはさる。『紫式部日記』
やっと猛暑・酷暑から抜けました。 まだ真夏日もありますが、それでもずいぶん楽になりました。
上の引用は『紫式部日記』の 冒頭です。秋が深まった頃の描写でしょうから今の季節よりはもっと後だと思いますが、ふとこの下りを思い出したのはやっと訪れた涼しさをいつもの年よりも心地よく感じたからでしょう。
『紫式部日記』はかなりきつい人物評があったりユーモアを感じるところがあったりと多彩です。その内容もさることながら和語を用いた美文の最高峰だと思います。紫式部の言葉に対する美意識が最も発揮されていると思います。
どういうものが美文といえるか私には自信がありませんが、「花」「星」とかきれいな物を持ち出せば美しい文・文章になるものではないと思います。
一方ファッションは美しい物を選択することが第一のステップだと思います。
カラー・ストッキングを多く見かけるようになりました。ほとんど黒ですが、やはりこういうところにも秋を感じます。
黒は輪郭を際立たせます。その効果はストッキングによって様々です。画像は Aristoc Harmony Point の黒です。20Dでもここまで透明です。
きれいなシャドーを描いていますが、土踏まずやかかとなどにも陰影ができます。はく人だけの楽しみです。
これは Chritian Dior です。ペトレルというブラウンとグレーが混じったような色です。アース・カラーなどの服に合うと思います。
こういった色はやはり透明感がないと脚だけ目立ってしまいますし、重くなってしまいます。 ただしロングやパンツのように少しだけ見える場合はしまった感じでいいかもしれません。
こういう微妙な色はあまり見なくなりました。
これは Aristoc Harmony Point Gentle Smoke です。
これまでなんども 取り上げていますが、なかなか無い色だと思います。
黒がアグレッシブだとすると、これは優しい confortable といったところでしょうか。
肌触りもすてきです。
今は販売していないものばかりですが、まだ消えていません。
これからすてきなストッキングのおしゃれが増えると期待します。もちろん私自身も。